【2025年最新版】建設業の「営業所専任技術者」とは?要件や変更手続きを徹底解説
建設業のプロフェッショナルとして、あなたの専門知識が会社の未来を築きます。
建設業許可のキーマン「専任技術者」とは?
建設業を営む上で、建設業許可は事業の信頼性を証明し、大規模な工事を請け負うために必須のものです。
しかし、この許可を取得・維持するためには、いくつかの厳しい要件を満たさなければなりません。
中でも特に重要となるのが、「営業所ごとに専任技術者を置く」という法律上の義務です。
- 「専任技術者って、一体どんな役割を担うの?」
- 「うちの会社に該当する人がいないけど、どうすればいい?」
このような疑問や不安をお持ちの経営者様や人事担当者様、そしてこれから建設業界でキャリアを築こうと考えている技術者の方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、建設業のプロである行政書士が、複雑な建設業法の規定を、初心者の方でもわかりやすく解説します。
- 専任技術者の要件
- その職務
- 変更手続き
まで、網羅的に説明していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
この記事が、あなたの会社の成長と事業の適正な運営に役立つことを願っています。
専任技術者とは?その役割と要件を解説
建設業法では、建設業許可を取得する際に、各営業所に専任技術者を常勤で置くことを義務付けています。
これは、請負契約が適正に締結され、そして建設工事が適切に施工されるよう、技術的な管理を行うことを目的としています。
専任技術者は、会社の技術的な基盤を支える、いわば「技術の番人」のような存在です。
専任技術者の職務と重要性
専任技術者の職務は多岐にわたりますが、主に以下の業務に専ら従事します。
- 建設工事の請負契約における技術的な内容の確認
- 契約金額や工期の適正な見積もり
- 工事の施工方法に関する技術的な指導や監督
特に、専任という言葉が示す通り、その営業所の技術的な業務に専ら従事する必要があります。
原則として
- 他の会社の役員
- 他の営業所、現場の技術者
これらと兼務することはできません。
この点は、後述する主任技術者や監理技術者との大きな違いです。
専任技術者になるための要件
専任技術者になるには、建設業法の規定を満たす必要があります。
その要件は、
- 取得しようとする許可の業種
- 特定建設業か一般建設業か
によって異なります。
大きく分けると、「資格」と「実務経験」の2つのルートがあります。
1. 資格による要件
特定の国家資格を保有している場合、専任技術者の要件を満たせます。
- 一般建設業:
- 指定学科卒業後、実務経験が一定年数ある者。
- 該当する業種の国家資格(例:一級建築士、二級建築士、1級施工管理技士、2級施工管理技士等)を持つ者。
- 特定建設業:
- 該当する業種の国家資格(例:一級建築士、1級施工管理技士等)を持つ者。
- 指導監督的実務経験を含む実務経験が一定年数ある者。
2. 実務経験による要件
資格がない場合でも、一定期間の実務経験を積むことで要件を満たすことが可能です。
- 一般建設業:
- 該当する業種について、10年以上の実務経験を有する者。
- 特定建設業:
- 29の業種すべてで、実務経験のみで要件を満たすことはできません。国家資格保有や指導監督的実務経験が必須です。
どちらの要件を満たしているか、ご自身の状況を確認することが重要です。
建設業許可と専任技術者|営業所の設置と注意点
建設業許可は、営業所ごとに専任技術者を常勤で置くことで、初めて取得できるものです。
営業所と専任技術者の関係
営業所とは、本店や支店など、請負契約を締結する事務所を指します。
もし、複数の営業所を設置する場合、それぞれの営業所に専任技術者を設置しなければなりません。
例えば、
- 東京に本店(営業所A)
- 大阪に支店(営業所B)
- 名古屋に営業所(営業所C)
があった場合。
それぞれの営業所に異なる専任技術者を置くことが原則です。
近接した場所にある営業所間で、専任技術者が兼務できる特例は、検討はされてますが、
まだ実施されていないです。
専任技術者の兼務と例外
専任技術者は、原則として専らその営業所の業務に従事する必要があります。
しかし、以下の状況では兼務が認められる場合があります。
- 代表取締役など役員との兼務: 申請会社の常勤の代表取締役や役員であれば、営業所技術者の業務に加えて、役員の職務を兼務することができます。
- 他社の代表取締役など役員との兼務:申請会社以外の非常勤の代表取締役や役員であれば、営業所技術者の業務に加えて、役員の職務を兼務することができます。ただし、申請会社以外の会社における別の代表取締役による非常勤の証明などが必要となります。
- 他の営業所の技術者との兼務: 厳格な要件(近接した場所、常時連絡が取れる体制等)を満たすことで、複数の営業所の専任技術者を兼任できるか、検討はされてますが、まだ実施されていない状況です。
- 工事現場の技術者との兼務: 専任技術者は、原則として工事現場の主任技術者や監理技術者と兼務することはできません。しかし、例外として「当該営業所で契約を締結した、当該工事現場が専任技術者のいる営業所から一定の距離内にあり、常時連絡が取れる体制にある場合」に加え「1億円未満の工事で、連絡員の配置、施工体制、現場状況を確認できる情報通信技術の措置などを講じた場合」にも兼務が認められる場合があります。
これらの例外は、法律や行政の規定に厳密に従う必要があります。
不明な点があれば、専門家に相談することが賢明です。
専任技術者の変更・交代手続きと注意点
専任技術者が退職や異動などで交代する場合、許可を維持するためには変更手続きを行う必要があります。
変更手続きの概要
専任技術者の交代があった場合、遅滞なく国土交通省または都道府県知事に対して変更の届出を提出しなければなりません。
これを怠ると、建設業法違反となります。
最悪の場合、許可の取消しや営業停止処分を受ける可能性もあります。
必要な書類は多岐にわたります。
- 新しい専任技術者の資格
- 実務経験を証明する書類(卒業証明書、資格証の写し、健康保険証の写し、実務経験証明書等)
を提出します。
令和6年建設業法改正のポイント
2024年の建設業法の改正では、専任技術者の要件や兼務に関する規定の合理化が進められました。
例:
令和6年の改正では、監理技術者の専任義務が緩和されました。
複数の工事現場を兼任できる特例が設けられました。
これは、建設業界の人材不足に対応するための措置です。
これらの最新の情報を常に確認しておくことが重要です。
自社の体制が法令に適合しているか確認しておくことが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q1: 専任技術者と主任技術者の違いは何ですか?
A1: 専任技術者は、営業所の技術的な管理を行う者です。
原則として常勤で営業所にいます。
一方、主任技術者(または監理技術者)は、個別の工事現場に配置されます。
その現場の施工を監督する技術者です。
Q2: 専任技術者は会社に何人必要ですか?
A2: 原則として、建設業許可を取得する営業所ごとに、常勤で1人必要です。
ただし、複数の業種の許可を取得している場合、同じ技術者がそれぞれの業種の要件を満たしていれば、複数の業種を兼任することは可能です。
Q3: 専任技術者の要件を満たす人がいない場合はどうすればいいですか?
A3: 新たに要件を満たす技術者を雇用するか、既存の社員に資格を取得してもらう、または実務経験を積ませる必要があります。
人材の確保が難しい場合は、行政書士などの専門家にご相談いただくのが良いでしょう。
当事務所でも、ご相談を承っておりますので、お気軽に問い合わせください。
専任技術者の確保が事業成功のカギ
この記事では、建設業許可に欠かせない専任技術者について、その要件や職務、変更手続きを詳しく解説しました。
- 専任技術者は、営業所の技術的管理を担う、建設業の許可に必須の存在です。
- 資格や実務経験で要件を満たすことができますが、特定建設業の場合はより厳しい要件が求められます。
- 常勤で専らその職務に従事することが原則ですが、法律の規定で兼務が認められるケースもあります。
- 専任技術者の交代時には、速やかに変更手続きを行う義務があります。
専任技術者の確保と管理は、建設業を適正に運営し、事業を成長させるための重要なポイントです。
複雑な手続きや法律の解釈に不安がある場合は、専門家である行政書士にご相談ください。
【参考資料】
国土交通省
「建設業許可制度」
建設業法(第7条、第11条、第15条)
各種行政・専門家解説資料