経営事項審査の有効期間は?経審制度と建設工事の概要

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結論:経営事項審査(経審)の有効期間は、審査基準日(通常は直前の決算日)から「1年7ヶ月間」と定められております。

公共工事を請け負おうとする建設業者は、この期間が切れる前に毎年継続して申請を行う必要があります。

公共工事の入札に参加するための参加資格を維持するには、客観的評価である経営事項審査の結果通知書(総合評定値通知書)が常に有効でなければなりません。

この有効期間の起算点は「審査結果を受領した日」ではありません。

あくまで「決算日」であることに注意が必要です。

例えば、12月31日決算の法人の場合、有効期間はその日から1年7ヶ月後の翌々年7月末日までとなります。

この期間内に次の年度の決算に基づく新しい通知書を受け取っておかなければ、入札への参加や契約締結ができなくなる「経審切れ」という事態を招きます。

建設業法に基づき、公共事業の発注者は、契約締結時だけでなく工事の全期間を通じて経審の有効性を求めるケースが多いため、継続的な受審は建設業者にとって必須の義務といえます。

経審有効期限の確認方法と算出の流れ

結論:経審の有効期限は、直近の決算日に1年7ヶ月を加算することで算出でき、現在の有効性は「全国建設業許可・経営事項審査公表システム」へのアクセスや、手元の総合評定値通知書に記載された審査基準日を確認することで把握可能です。

経営規模等評価結果通知書 有効期間の数え方

経営規模等評価結果通知書および総合評定値通知書の有効期間は、通知書が届いたタイミングに関わらず一定です。

  • 有効期間の計算例: 3月31日が決算日の場合、その年の3月31日から1年7ヶ月後、つまり翌年の10月末日が有効期限となります。この「7ヶ月」という期間は、決算終了後に財務諸表を作成し、経営状況分析を受け、行政庁に提出して通知書が交付されるまでの標準的な事務処理時間を考慮して設定されています。しかし、書類に不備があったり、提出が遅れたりすると、新しい通知書が届く前に旧通知書の期限が過ぎてしまうリスクがあります。

経営状況分析有効期間との関係性

経営事項審査の手続きの第一段階である経営状況分析にも、期間に関するルールが存在します。

  • 分析結果の活用: 経営状況分析の結果(Y点)は、経営事項審査の申請を行う際に添付する必須書類です。分析機関から発行された結果通知書そのものに有効期限はありませんが、経営事項審査自体が「決算日から7ヶ月以内」に申請を行うことが原則(知事許可・大臣許可の運用による)とされているため、分析も速やかに行う必要があります。分析が完了し、受領したデータを元に、直前決算の数値を反映させた状態で評価を受ける流れとなります。

経営事項審査の更新を忘れた際のリスク

結論:経営事項審査の有効期間が過ぎた場合、公共工事の入札参加や契約締結が一切できなくなります。

指名停止と同等の不利益を被るだけではありません。

格付け(ランク)にも悪影響を及ぼす可能性があります。

経営事項審査 有効期間 過ぎた場合の対策

万が一、有効期間を過ぎてしまった場合は、一刻も早く新しい事業年度の申請手続きを行うしかありません。

  • 空白期間の不利益: 有効期間が切れている間は、公共工事の受注活動がストップします。これは「継続して公共工事を請け負う能力がある」という証明が途切れたことを意味するためです。再取得しても、切れ目が生じた事実は発注者側の名簿等で確認されることがあり、信頼低下に繋がります。そのため、決算終了後は速やかに税理士と連携して財務諸表を確定させ、行政書士に依頼して申請書を作成する計画的なスケジュール管理が重要です。

建設業許可 更新との手続きの違い

建設業許可の更新と経営事項審査の受審は、全く別の手続きです。

  • 許可と経審の比較: 建設業許可の更新は「5年ごと」ですが、経審は「毎年」です。許可の有効期限だけを見て経審を放置してしまうミスが散見されます。許可は営業を行うための土台であり、経審は公共事業に参加するための毎年の健康診断のようなものだと理解しましょう。当事務所では、東京、埼玉、千葉、神奈川の建設業者様に対し、許可と経審の両方の期限管理をサポートし、手続きの遅れを未然に防ぐサービスを提供しています。

切れ目のない受審計画と行政書士の役割

結論:経審の有効期間を維持するためには、決算後4ヶ月以内に経営状況分析を終え、5ヶ月以内に経営事項審査の申請を完了させる「早期受審」がポイントです。

専門職である行政書士の支援を受けることが最も確実な解決策です。

公共事業の担い手である建設業者が、複雑な審査基準や提出書類、各種加点項目(社会性、技術力等)を自己管理するのは多大な労力を要します。

  • 特に電子申請への移行
  • キャリアアップシステムの導入

など、最新の制度変更に対応しながら毎年遅滞なく手続きを行うには、専門家のアドバイスが不可欠です。

行政庁の予約状況や郵送・交付までのリードタイムを考慮した計画を立てることで、余裕を持って新しい通知書を受け取ることができます。

初回相談は無料で行っておりますので、資料をお手元にご用意の上、お気軽に問い合わせください。

経審切れを回避するための実務的な対策

結論:経営事項審査の有効期間を1日も切らさないためには、決算終了後のスケジュールを「逆算」して管理することが不可欠です。

特に行政庁の審査予約の混雑状況や電子申請の不備リスクをあらかじめ考慮した計画が成功の鍵となります。

建設業者が公共工事の受注を継続する上で、最も恐れるべき事態は「経審切れ」です。

この空白期間が発生する主な理由は、手続きの着手が遅れること、あるいは申請書類に重大な不備が見つかり、審査がストップすることにあります。

特に東京、埼玉、千葉、神奈川などの関東圏では、決算期が集中する時期(特に3月決算後の6月〜8月頃)に、行政庁への受審予約が数週間待ちになることも珍しくありません。

  • 審査基準日と有効期間の関係を再確認: 審査基準日は原則として「直前の事業年度の終了日(決算日)」です。この日から1年7ヶ月という有効期間は、どんな理由があっても延長されることはありません。たとえ災害やシステム障害があったとしても、基本的にはその期間内に次の通知書を「受領」していなければならないのです。そのため、前回の通知書が届いた日を基準にするのではなく、常に「決算日」を起点に、カレンダーへ有効期限を太字で記載しておく必要があります。

  • 社会保険の加入と社会性(W点)の確認: 有効期間を維持するだけでなく、その内容(評点)を適正に保つためには、社会保険(健康保険、厚生年金、雇用保険)への加入状況や、建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録状況を、決算日時点で整えておく必要があります。これらの状況に不備がある場合、経営規模等評価結果通知書の交付が遅れたり、期待していた点数が出なかったりすることで、入札参加資格の格付け(ランク)に影響を及ぼし、結果的に受注戦略が狂ってしまう事態を招きます。

電子申請システム(JCIP)と有効期間の管理

結論:令和5年より本格導入された経営事項審査の電子申請システム(JCIP)は、郵送や対面の手間を省く画期的なツールですが、デジタルならではの「入力不備による差し戻し」が有効期間の失効を招く新たな要因となっているため、注意が必要です。

現在、国土交通省は経営事項審査の電子申請を強く推奨しています。

電子申請を利用することで、審査期間の短縮やデータの正確な反映が期待できます。

しかし、実際の実務では、添付書類のスキャンデータの不鮮明さや、財務諸表の数値の1円単位での不一致により、システム上で「補正(修正)」が何度も繰り返されるケースが散見されます。

  • デジタル化によるスピードアップの罠: 「電子申請だからすぐに終わる」という思い込みは危険です。審査を行う都道府県(知事許可)や地方整備局(大臣許可)の担当者がデータをチェックする時間は、これまでの対面審査と大きく変わりません。むしろ、差し戻された際の連絡にタイムラグが生じることもあるため、有効期限の「直前」に電子申請を行うのは非常にハイリスクです。少なくとも期限の2ヶ月前にはシステム上での送信を完了させるスケジュール感が、現在の建設業界の「新常識」といえます。

入札参加資格と経審有効期間のデッドライン

結論:入札参加資格の有効性と経審の有効期間は完全に連動しております。

経審が切れた瞬間に自治体の名簿から「入札不可」のフラグが立てられるため、契約締結直前に経審が切れるという最悪のシナリオを絶対に避ける仕組み作りが重要です。

地方公共団体の競争入札参加資格は、通常2年に1度の定期受付や随時受付で行われますが、その資格を維持するための前提条件が「有効な経審の通知書を保持していること」です。

多くの自治体では、システムが自動的に経審の有効期限を巡回・監視しており、期限が切れた業者は自動的に指名候補から外される仕組みを導入しています。

  • 契約締結時の有効性: 公共工事の落札候補者になったとしても、契約締結の時点で経審の有効期間が切れていれば、契約を交わすことはできません。これは「次順位の業者」に仕事が流れてしまうという、会社にとって最大の損失を意味します。また、継続工事(複数年契約)の場合でも、年度の更新時に新しい経審通知書の写しの提出が求められます。ここで「まだ届いていません」という回答は、元請けとしての信頼を著しく損ない、以後の公共事業への参加に暗雲を垂れ込める結果となります。

行政書士が教える「失敗しない」スケジュール表

結論:決算日から数えて「何ヶ月目に何をすべきか」をマニュアル化します。

社内の経理担当者、顧問税理士、そして手続きを代行する行政書士の三者がリアルタイムで情報を共有することが、有効期間を確実に守るための唯一の解決策です。

  1. 決算日(Day 0):経審のカウントダウン開始。

  2. 決算後2ヶ月以内:税理士による決算確定と確定申告の完了。

  3. 決算後2.5ヶ月以内:行政書士による経営状況分析(Y点)の申請。分析結果通知書を速やかに受領。

  4. 決算後3.5ヶ月以内:経営規模等評価(X・Z・W点)および総合評定値(P点)の申請完了。

  5. 決算後5ヶ月以内:新しい総合評定値通知書の受領。これにより、前回の期限まで「約1年2ヶ月」の余裕を持った状態で、次年度の資格を確保。

このように、決算後5ヶ月以内にすべてを完結させるのが理想的な流れです。

これを「翌年の決算が近くなってから」と考え始めると、不測の事態に対応できなくなります。

当事務所では、顧問契約をいただいているお客様に対し、これらのステップを自動的に通知し、必要な書類の収集を先回りして行うことで、「経審切れ」のリスクをゼロに抑える体制を整えています。

また、地域ごとの特性(例えば東京都庁の窓口の混雑予想や、神奈川県における郵送審査の注意点、埼玉県独自の追加資料、千葉県の審査スケジュールなど)を踏まえたアドバイスを適宜行うことで、事業者様が安心して本業のまちづくりやインフラ整備に専念できる環境を提供しています。

まとめ:毎年継続することの価値

経営事項審査は、建設業法という法律に基づいた厳格な制度です。

しかし、その有効期間を正しく管理し、毎年誠実に受審し続けることは、単なる義務の遂行ではありません。

「私たちは常に公的な基準を満たし、健全な経営を行っている」ということを、発注者や社会に対して、これ以上ない説得力を持ってアピールする営業活動の基盤でもあるのです。

点数(評点)の上下に一喜一憂するだけでなく、まずはこの「期間」という土俵から降りないこと。

それが、公共工事の担い手として長く活躍し続けるための第一歩です。

佐藤栄作行政書士事務所 | 公開日:2026.01.15 07:30 
更新日:2026.01.13 20:32

この記事を書いた人

sato-eisaku