建設業許可で資本金が足りない時の全て:財産的基礎要件と代替解決策を行政書士が解説

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建設業許可を取得し、事業拡大を目指す建設業者様にとって、最も最初に立ちはだかるハードルの一つが、財産的基礎の要件です。

特に、「建設業許可 資本金は500万円以上必要」という情報だけが独り歩きしていませんか?

「うちの会社は資本金が足りないから許可が取れない」と誤解している経営者様は少なくありません。

しかし、建設業法が求めているのは厳密には「資本金」そのものではありません。

「財産的基礎の要件」です。

この要件は、資本金が足りない場合でも代替の方法でクリアできる道が残されています。

今回の記事では、東京、埼玉、千葉、神奈川を中心に建設業許可申請を専門とする行政書士が、建設業許可 資本金が不足した時の正しい知識と具体的な解決策を権威ある視点から解説します。

特に、「建設業許可 資本金が足りない」と悩む中小建設業者様の疑問を完全に解消するための実務的な情報を網羅します。

建設業許可 資本金 要件の正しい理解

この章で伝えたい結論:建設業許可の要件は、一般建設業と特定建設業で異なります。

一般建設業では資本金または「500万円以上の資金調達能力」を求められます。資本金そのものが絶対条件ではありません。

一般建設業と特定建設業の要件の違い

建設業許可は、一般建設業許可と特定建設業許可の二種類に分けられ、それぞれ財産的基礎に対する要件が大きく異なります。

許可区分 財産的基礎の要件(原則) 備考
一般建設業許可 以下のいずれかを満たすこと:①自己資本が500万円以上、または ②500万円以上の資金調達能力があること。 多くの_中小建設業者_はこちら。
特定建設業許可 ①欠損の額が資本金の20%を超えないこと、②流動比率が75%以上、③自己資本が4,000万円以上の全てを満たすこと。 元請として4,000万円以上の工事を請け負う場合など。

 

一般建設業許可における資本金の位置付け

一般建設業の場合、「資本金500万円以上」を持つことが最も簡単かつ確実に要件をクリアする方法です。

しかし、資本金が500万円未満であっても、別の方法(代替要件)で「財産的基礎」を証明できれば問題ありません。

 

建設業許可 財産的基礎の代替解決策

この章で伝えたい結論:資本金が500万円未満でも、直前の期末(決算時)の貸借対照表の「純資産の部の自己資本」が500万円以上あれば問題なく要件を満たします。なければ、金融機関の残高証明書で証明する方法に移行します。

代替要件1:自己資本(純資産)による証明

建設業許可の審査で最も重視されるのは、貸借対照表の「純資産の部」に記載される「建設業許可 自己資本」の金額です。

自己資本が500万円以上あれば、許可要件はクリアです。

  • 自己資本の定義:資本金、資本剰余金、利益剰余金の合計額を指します。会社の蓄積された利益も含まれるため、創業時の資本金が少なくても、その後の経営で利益を残していれば要件を満たすことが可能です。

代替要件2:金融機関の残高証明書の利用

直前の決算で自己資本が500万円未満の場合や、新設法人でまだ決算を迎えていない場合などは、申請時の「資金調達能力」を証明します。

  • 必要書類:申請日直前1ヶ月以内に発行された、金融機関の預金残高証明書。
  • 要件額:この残高証明書の残高が500万円以上あれば要件クリアです。(ただし、負債を相殺する計算が入る場合があります)

 

建設業許可 資本金 借り入れと代替策の注意点

この章で伝えたい結論:建設業許可 資本金を補うための銀行などの「借り入れ金(負債)」は原則として財産的基礎の証明に利用できません。

あくまでも自己資金または融資枠の証明が必要です。

借り入れ金は財産的基礎に含まれない

行政庁が建設業者に求めているのは、「いざという時に倒産せず、建設工事を適正に履行できる資金力」です。

金融機関からの借り入れ金は将来的に返済義務のある負債です。

そのため、許可要件でいう「財産的基礎」の計算には原則として含まれません。

  • 注意点:残高証明書で証明する場合も、その資金が一時的に親族などから借り入れたもの(贈与ではなく負債)であると判断された場合は、許可が却下されるリスクが生じます。

新規設立法人の資金調達と証明方法

創業間もない新設法人は決算を迎えていないため、残高証明書で500万円以上を証明する方法が主流となります。

資本金として500万円以上を設定しましょう。

通帳の写し(払込証明)を提出することが最もシンプルな解決策です。

建設業許可 自己資本の正確な計算方法

この章で伝えたい結論:建設業許可でいう「自己資本」は、決算書(貸借対照表)の純資産の部に記載された金額の合計であり、正確な計算式を知ることが重要です。

  • 計算式:自己資本=資本金+資本剰余金+利益剰余金の合計
  • 元入金の扱い:個人事業主の場合は、確定申告書に記載される「元入金」、事業主借(貸)などの項目を考慮して純資産額を算定します。

 

東京都・埼玉・千葉・神奈川の要件の違い

この章で伝えたい結論:一般建設業許可の財産的基礎要件(500万円)の規定は、建設業法で定められているため、東京、埼玉、千葉、神奈川の知事許可でも金額の違いはありません。

  • 審査の厳格性の違い:ただし、各都県の行政庁(窓口)によって、残高証明書での証明を行う際の「資金の出所」に対する質問や審査の厳格性が異なる場合があります。特に東京都は審査が厳しい傾向にあります。

 

建設業許可 資本金が足りない時、誰に相談すべきか (20文字)

この章で伝えたい結論:建設業許可の財産的基礎の要件は会計と法律が絡む複雑な問題です。

資本金が足りない時は、許可申請の専門家であり、会計の知識も持つ行政書士にまず相談することが最も的確で早い解決に繋がります。

相談先1:建設業許可専門の行政書士

行政書士は建設業法に基づく許可申請のプロフェッショナルです。

お客様の決算状況を基に、

  • 「自己資本による証明が可能か」
  • 「残高証明書で証明する場合のリスクと注意点」

などを的確に判断します。

最適な戦略を提案します。

特に、弊社のように東京、埼玉、千葉、神奈川の各行政庁の審査基準に精通している行政書士に相談することが、スムーズな許可取得への近道です。

相談先2:顧問の税理士

会計・税務の専門家である税理士は、正確な自己資本額の計算や、将来的な増資の手続きの相談に乗ってくれます。

ただし、税理士の業務は税務が中心のため、建設業許可の審査基準そのものの知識は行政書士の方が深いことが多いです。

行政書士と税理士が連携して進めることが理想的です。

資本金が足りない建設業者の解決への道

この章で伝えたい結論:資本金が足りないことは諦める理由にはならず、決算状況の見直しや残高証明書の準備を行うことで解決へと進むことができます。

  1. 直前の決算書の確認:まずは貸借対照表の純資産(自己資本)を確認し、いくら足りないのかを正確に把握します。
  2. 残高証明書の準備:自己資本が不足する場合は、申請日に向けて500万円以上の現金を銀行口座に用意し、証明書を取得します。

建設業許可の他の要件との関係

財産的基礎の要件は、経営業務の管理責任者や専任技術者などの「人的要件」と並び、建設業許可の取得に必須の要件です。

全ての要件を同時に満たす必要があります。

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佐藤栄作行政書士事務所 | 公開日:2025.10.20 07:00 
更新日:2025.10.21 19:19

この記事を書いた人

sato-eisaku