特定建設業の申請書類:必要書類と作成・提出ガイド

特定建設業許可申請に必要な財務諸表(貸借対照表)をチェックする担当者と積み重ねられた申請書類。

 

特定建設業許可の取得は、事業拡大の鍵となります。

しかし、その申請は一般建設業と比べ遥かに複雑です。

結論から言えば、特定建設業の申請書類は、一般の書類に加え、特に「財産的基礎」と「専任技術者の指導監督的な実務経験」を証明する資料が厳格に求められます。実務経験の場合は、監理技術者証の取得が必要であったりします。

書類の不備は審査の遅延に直結します。

今回の記事では、

特定建設業の許可申請を完遂するために必要な書類一覧

作成の極意

を、東京・神奈川・埼玉・千葉の建設業許可を専門とする行政書士が網羅的に解説します。

鮮度の高い情報と権威性のある解決策を提供します。

特定建設業許可の要件と必要書類の基礎

この章で伝えたい結論:特定建設業の申請書類は、一般建設業の基本書類に加え、元請として下請を指導・監督する能力を証明する追加の資料が必要となります。

特定建設業が必要な理由と許可要件

特定建設業許可は、元請として5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上の下請契約を締結する場合に必要です。

建設業法上、下請業者を保護する目的で、元請に厳格な要件が課されます。

主要な特定建設業 許可要件は以下の5つです。

  1. 経営業務管理責任者(経営を適正に行う能力)
  2. 専任技術者(1級の技術資格、指導監督的な実務経験)
  3. 財産的基礎
  4. 誠実性
  5. 欠格要件に該当しないこと

特定建設業の必要書類一覧の全体像

申請書類は、大きく分けて「基本書類(様式)」と「添付書類(確認資料)」の2種類に区分されます。

特定建設業の新規および更新では、特に3と4に関する証明資料が厳しくなります。

  1. 許可申請書(様式第1号、表紙)
  2. 共通の添付書類(営業所の一覧表、専任技術者の調書など)
  3. 財産的基礎を証明する財務諸表
  4. 技術能力を証明する書類(指導監督的実務経験の証明)

 

厳格な財産的基礎の証明書類作成

この章で伝えたい結論:特定建設業の財産的基礎は、直前の事業年度の財務諸表で4つの基準をすべて満たす必要があります。

書類の記載内容には細心の注意が必要です。

必須の財務諸表と記載事項の注意点

特定建設業の申請では、以下の財務諸表が必須です。

公認会計士や税理士が作成した資料を添付します。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 株主資本等変動計算書
  • 注記表

特定建設業 財産的基礎の要件を満たしているかは、貸借対照表から以下の4点を厳しく確認されます。

  1. 欠損の額が資本金の20%以下
  2. 流動比率が75%以上
  3. 資本金が2,000万円以上
  4. 純資産の合計額が4,000万円以上

財産的基礎の証明が困難な場合の対応

直前の事業年度の財務諸表で上記の要件を満たさない場合、許可申請は原則としてできません。

ただし、新たな資本の増強や金融機関からの融資などの措置を講じて、再度要件を満たすための準備を行う必要があります。

 

専任技術者の書類と実務経験の証明

この章で伝えたい結論:特定建設業の専任技術者は、一般と異なります。

実務経験の場合「指導監督的な実務経験」を厳格に証明しなければなりません。

該当する工事の請負契約書や注文書が必須**です。監理技術者証の取得が必要な場合があります。

専任技術者の要件と提出書類

特定建設業の専任技術者は、その業種に関して一般建設業の技術者としての要件を満たした後、さらに「指導監督的な実務経験」を2年以上有することが求められます。

提出書類の中心は以下の2点です。

  1. 専任技術者証明書(様式第8号など)
  2. 資格または実務経験を証明する資料

指導監督的実務経験を証明する資料

指導監督的実務経験とは、元請としての請負金額4,500万円以上の建設工事で、下請業者を指導監督した経験のことです。

証明に必要な書類:

  • 当該工事の請負契約書の写し
  • 当該工事の注文書や発注書(元請であることを証明**)
  • 工事内容および指導監督を行ったことを証明する書類(工事経歴書、施工体系図など)

指導監督的な地位にあったことがわからない工事

元請としての請負でない工事

これらの経験は認められないため、書類の選定と準備が極めて重要です。

 

申請書類作成と提出時の共通注意点

この章で伝えたい結論:特定建設業の申請は、建設業法の規定に基づき、法人全体の誠実性や社会保険の加入状況まで厳しく確認されます。

基本書類の記載も漏れなく行う必要があります。

経営業務管理責任者の略歴書と証明

常勤役員等(旧:経管)証明書(様式第7号)も、特定建設業、一般建設業を問わず重要な書類です。

過去の経営経験を証明する登記事項証明書、確定申告書の写しなどを添付します。

特に重要な要件が改正された令和6年以降、その証明の方法が行政庁ごとに異なります。

最新の手引きを確認するか、行政書士への相談をおすすめします。

建設業法遵守と社会保険等の確認資料

特定建設業、一般建設業を問わず、建設業許可の申請には、法人としての法令遵守状況が問われます。

  • 健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入状況:被保険者証の写し、納入通知書の写し、労働保険概算・確定保険料申告書を提出します。未加入の場合、原則として許可は下りません。
  • 誓約書(様式第6号など):欠格要件に該当しないこと、誠実性を有することを代表者が誓約する書類です。

 

申請の流れと特定建設業 申請費用

この章で伝えたい結論:特定建設業の申請は、書類作成に膨大な時間と労力がかかります。

手数料も一般建設業より高くなるため、事前の準備と予算確保が不可欠です。

申請の流れと標準的な期間

  1. 要件確認と書類準備(1ヶ月~3ヶ月)
  2. 申請書作成(1週間~1ヶ月)
  3. 行政庁への提出(行政書士が代行する場合が多い)
  4. 審査(知事許可:30日~45日、大臣許可:90日~120日)
  5. 許可通知の交付

特定建設業 申請費用(手数料)

特定建設業 申請費用は、申請区分と行政庁によって異なります。

  • 新規申請(知事許可・大臣許可):手数料9万円または登録免許税として 15万円
  • 業種追加:5万円
  • 更新申請:5万円

上記以外に、行政書士への特定建設業 申請代行を依頼する場合は、別途代行料金が発生します。

 

許可更新時の注意点と財産的基礎の継続

この章で伝えたい結論:特定建設業の更新申請では、期限切れに加え、許可取得後も財産的基礎を維持していることの継続的な証明が求められます。

建設業許可 更新手続きに必要な書類

建設業許可 更新申請は、許可期限の3ヶ月前から30日前までに行います。

必要書類は、新規申請時と同様に、

  • 履歴事項全部証明書
  • 役員の登記されていないことの証明書や身分証明書
  • 専任技術者資格者証
  • 社保、雇用保険の資料

などが中心です。

特定建設業 財産的基礎の継続要件

特定建設業 財産的基礎の要件は、更新時にも満たしている必要があります。

万が一、直前の決算で要件を下回っていた場合、許可更新ができません。

一般建設業への許可種類変更を余儀なくされる可能性があります。

継続的な要件維持の観点から、経営状況の事前把握が極めて重要です。

 

特定建設業申請代行は専門行政書士へ

この章で伝えたい結論:特定建設業 申請代行は、膨大な書類の正確な作成、複雑な要件のクリアに不可欠です。

地域特有の審査傾向を熟知した専門家への依頼が最善の解決策です。

特定建設業 申請書類の作成は、膨大な量と厳格な内容ゆえに、企業の担当者様にとって大きな負担となります。

当事務所は、建設業許可の専門行政書士として、東京、埼玉、千葉、神奈川の知事許可・大臣許可を問わず、特定建設業 申請を専門に代行しています。

最新の建設業法の規定と、関東地方整備局、各都県の行政庁の審査基準を的確に把握し、迅速・確実な許可取得を支援します。

まずは無料相談をご利用いただき、現状の特定建設業 許可要件の確認を行いましょう。

佐藤栄作行政書士事務所 | 公開日:2025.10.10 07:00 
更新日:2025.10.10 18:59

この記事を書いた人

sato-eisaku