建設業許可 管工事業の要件とは?管工事の申請・取得を行政書士が解説

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建設業許可の29業種の中でも、「管工事業」は給排水、空調、ガスなど、人の生活に必要不可欠なライフラインを担う重要な業種です。

管工事業を営む建設業者様にとって、請負金額500万円以上の工事を請け負う場合は、管工事業の許可取得が必須となります。

管工事業の許可申請を行う際には、他の業種に増して、給排水・衛生・冷暖房といった多岐にわたる設備工事の知識と、複雑な技術要件の整理が必要となります。

特に専任技術者の資格区分や実務経験の証明方法について、多くの建設業者様が疑問を持っています。

当記事は、管工事業の許可申請を専門とする行政書士事務所として、

  • 管工事業の定義と工事範囲の区分
  • 新規許可取得に必要な全ての要件(経営、技術、財産)
  • 申請手続きの流れ
  • 費用

更新まで、解決に繋がる情報を網羅的に解説します。

東京、埼玉、千葉、神奈川エリアで管工事業を営む建設業者様は、許可取得の最短ルートを知るためにぜひご覧ください。

建設業許可 管工事業 区分と工事範囲

結論:建設業許可の管工事業は、

冷暖房

冷凍冷蔵

空気調和

給排水・給湯

衛生設備

ガス配管工事など、広範囲な配管工事を総合的に含みます。

他の業種(水道施設工事、電気工事など)との境界線を明確に理解することが、適切な許可取得の第一歩です。

1. 管工事業が該当する工事の種類

管工事業が専門として行う工事の範囲は非常に広いため、大きく分けて以下の4つに分類されます。

区分 主な工事内容 具体的な設備
空気調和設備工事 冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、排気・排煙などの設備を設置する工事。 エアコン、ボイラー、ダクト、冷媒配管工事、空調機器。
給排水・給湯・衛生設備工事 水の供給(給水)、排出(排水)、給湯設備の設置や配管工事。 給湯設備、水洗便所、洗面台、厨房設備、浄化槽(本体除く)設置など。
ガス・油・水蒸気の配管工事 建物内または敷地内でガス、油、水蒸気などの輸送を行う配管工事。 ガス配管工事、熱源配管、油配管。
管内清掃・更生工事 既設の管(配管)の清掃や修理、寿命延長を目的とした更生工事。 排水管高圧洗浄、ライニング工事。

2. 管工事業と他業種との区分の違い

管工事業は上下水道や電気設備と密接に関わるため、他の業種との境界線を正しく理解する必要があります。

2-1. 水道施設工事業との違い

  • 管工事業:敷地内(家屋や建築物の内部または周辺)に給排水や衛生設備を設置する工事。

  • 水道施設工事業:公道に埋設された公的な上水道、工業用水道の取水、浄水、配水などの大規模な施設本体を建設する工事。

2-2. 電気工事業との違い

  • 管工事業:冷暖房設備の本体設置や冷媒配管工事。

  • 電気工事業:空調機器の電源を接続する配線や電気計装の工事。

2-3. 消防施設工事業との違い

  • 管工事業:消火用のガス配管や特殊な配管など、消火システムの一部の配管を担う場合があるが、スプリンクラー設備や火災報知器など、消火施設の本体を設置するのは消防施設工事業。

複合的な工事を請け負う場合、主たる工事の内容がどちらに該当するかを正確に判断する必要があります。

迷う場合は行政書士にご相談ください。

建設業許可 管工事 要件と専任技術者

結論:管工事業の許可取得には、他の業種と同様に

  1. 「経営業務の管理体制」
  2. 「専任技術者の設置」
  3. 「財産的基礎」
  4. 「誠実性・欠格要件」

の4つの必須要件を満たす必要があります。

中でも専任技術者は資格や実務経験の区分が複雑なため、事前の確認が不可欠です。

1. 専任技術者の資格要件(一般建設業)

管工事業は指定建設業ではないため、比較的幅広い資格や経験で要件を満たすことが可能です。以下のいずれかを常勤で設置する必要があります。

国家資格による証明

  • 1級管工事施工管理技士

  • 2級管工事施工管理技士(種別問わず)

  • 技術士(機械部門・建設部門等、管工事に関連する科目を選択)

  • 建築設備士

  • 給水装置工事主任技術者(免状交付後1年以上の実務経験が必要)

  • 計装士(1級で1年以上、2級で3年以上の実務経験が必要)

学歴と実務経験による証明

管工事業に関する指定学科(機械工学、土木工学、建築学、衛生工学、熱工学、都市工学、流体工学など)を卒業後、以下の実務経験を有する者。

  • 大学(工業高等専門学校)卒業後:3年以上の実務経験

  • 高校(専門学校)卒業後:5年以上の実務経験

実務経験のみによる証明

  • 管工事業に関する10年以上の実務経験

2. 専任技術者の資格要件(特定建設業)

特定建設業は、元請として4,000万円以上の下請契約を行う場合に必要となります。

一般建設業より要件が厳しくなります。

  • 1級管工事施工管理技士

  • 技術士(管工事に関連する科目を選択)

  • 国土交通大臣が認める者(一般建設業の要件を満たし、かつ指導監督的実務経験を有する者など)

3. 経営体制と財産的基礎

管工事業も他業種と同様に、

  • 常勤の役員による経営体制の証明
  • 500万円以上の自己資本または資金調達能力の証明

が必要です。

特に経営体制は、改正建設業法により「経営業務管理責任者(経管)」が廃止され、新たに「複数の役員による補佐体制」でも認められるようになりました(詳しくは当事務所の「経営業務管理責任者廃止の記事」を参照ください)。

建設業許可 管工事 申請と証明書類

結論:管工事業の許可申請は、専任技術者の実務経験や資格の証明方法、そして設備工事に特有の請負契約書の整理が難しいポイントです。

提出書類が膨大になります。

そのため、行政書士に依頼することで申請期間の短縮と不備の防止が可能です。

1. 実務経験を証明する方法

管工事業での実務経験10年(または3年・5年)を証明する際は、以下の書類を準備します。

  • 請負契約書、注文書、請求書の写し:実務経験期間を網羅するように、各年度の工事を証明する書類が必要です。

  • 工事内容を示す資料:管工事に該当する内容であったことを証明する図面や写真、施工体系図など。

  • 技術者の配置が確認できる資料:請負契約書等に氏名が記載されているなど、申請者が当該工事に従事したことを示します。

注意点:特に、「配管工」として単なる作業員の経験ではなく、「施工管理」や「技術的指導」に関わった経験である必要があります。

2. 必要な添付書類の種類

管工事業の許可申請には、他の業種と共通の書類に加え、以下の資料が必要です。

  • 建設業許可申請書一式(様式第1号、財務諸表、役員一覧など)

  • 専任技術者の資格証明書の写し(または実務経験証明書)

  • 経営業務の管理体制を示す書類(組織図、役員の経験証明など)

  • 営業所の写真および所在地図

  • 社会保険の加入状況を示す書類(健康保険証の写し、加入証明など)

3. 申請の流れと期間

東京、埼玉、千葉、神奈川の知事許可を取得する場合の標準的な流れと期間は以下の通りです。

  1. 事前相談・要件確認(行政書士と)

  2. 必要書類の収集・作成(最も時間を要する部分。1ヶ月~3ヶ月)

  3. 申請書の提出(行政庁の窓口)

  4. 行政庁による審査(知事許可で概ね45日~60日程度)

  5. 許可通知・交付

建設業許可 管工事 費用と維持コスト

結論:管工事業の許可取得にかかる費用は、行政庁への法定手数料と、行政書士への報酬額が中心です。

許可取得後も、維持のために毎年の決算変更届や5年ごとの更新費用が発生します。

1. 新規申請の法定手数料

申請の種類 知事許可 大臣許可
一般建設業新規 9万円 15万円
特定建設業新規 12万円 18万円
業種追加 5万円 5万円

2. 行政書士への報酬額

報酬額は事務所や申請の複雑性(経管証明の難しさ、実務経験の資料収集の手間など)により異なります。

管工事業の一般建設業新規申請であれば、概ね25万円から40万円程度が相場となります。

当事務所では、初回相談時に明確な料金を提示いたします。

3. 許可維持にかかる費用

  • 更新申請(5年ごと):法定手数料5万円+行政書士報酬。

  • 決算変更届(毎年):提出が義務付けられています。行政書士に依頼する場合は数万円の報酬が発生します。

建設業許可 管工事 更新と変更の手続き

結論:管工事業の許可を継続するためには、5年ごとの更新申請と、役員や営業所などの変更が生じた際の変更届を期限内に行う必要があります。

これらの手続きを怠ると許可が失効するため、厳格な管理が求められます。

1. 更新申請の注意点

更新申請は、許可の有効期限の3ヶ月前から30日前までの間に行う必要があります。

  • 再審査項目:新規申請と同様に、経営体制、専任技術者の常勤性、財産的基礎の維持などが再び審査されます。

  • 欠損の確認:過去5年間の決算において、財産的基礎を満たしていたかどうかを確認されます。

  • 決算変更届の提出状況:毎年の決算変更届が適切に提出されていることが、更新申請の前提となります。

2. 変更届の種類と期限

管工事業の許可内容に変更があった場合、速やかに変更届を提出する義務があります。

変更事項 届出期限 主な手続き
役員の変更、資本金 遅滞なく(概ね30日以内) 登記事項証明書、役員一覧などを添付
専任技術者の変更 2週間以内 新しい技術者の資格証明書、常勤証明など
営業所の名称・所在地の変更 遅滞なく 新しい営業所の写真、所在地図
決算内容の変更 事業年度終了後4ヶ月以内 工事経歴書、財務諸表など(決算変更届)

🙋 よくある質問と解決策

結論:管工事業に特有の許可に関する疑問や、申請時の難しい課題について、専門行政書士が解決策を提示します。

Q1. 浄化槽設置工事は管工事業に該当しますか?

A. 浄化槽の本体を設置する工事は「水道施設工事業」(または「土木一式工事」に含まれる場合がある)に該当します。

しかし、浄化槽と家屋の配管を接続する部分の工事や、建物内の衛生設備を設置する工事は「管工事業」に該当します。

複合工事の場合は主たる工事の内容で判断しますが、浄化槽の設置を主に行う場合は水道施設工事業の許可も検討が必要です。

Q2. 給水装置工事主任技術者で専任技術者になれますか?

A. はい、なれますが、要件があります。

給水装置工事主任技術者の資格を保有しているだけでは不足です。

免状交付後に管工事業に関する1年以上の実務経験が必要です。

この実務経験を証明する書類(工事の請負契約書など)を準備する必要があります。

Q3. 空調工事は管工事業と電気工事業のどちらが必要ですか?

A. 空調工事は「複合工事」の典型例です。

  • 管工事業:エアコン本体の設置、冷媒配管、ダクト設置、ドレン配管など(機械本体の機能を確保する部分)。

  • 電気工事業:空調機器への電源引き込み、制御盤の設置、電気配線など(電気を利用する部分)。

請負金額が500万円以上の工事を請け負う場合、主たる工事がどちらかで判断しますが、大きな空調設備工事では管工事業と電気工事業の両方の許可を取得している建設業者様が多いです。

Q4. 建設業許可と水道局の指定工事店は何が違いますか?

A. 建設業許可の管工事業は、建設工事を請け負うことに対する許可です。

公共の上下水道本管から分岐して敷地内に引き込む工事など、水道法に基づく工事を行うためには、各自治体の水道局から「指定工事店」の認定を受けることが必要です。

これらは別の制度です。

管工事業の許可を持っても、指定工事店の認定がないと水道本管に関わる工事は行えません。

管工事業 建設業許可 行政書士 無料相談窓口

建設業許可の管工事業は、技術要件の複雑さや、他業種との境界線の判断が難しく、申請に時間を要するケースが多い業種です。

特に専任技術者の資格や実務経験の証明書類収集につまずく建設業者様が多くいます。

当事務所は、東京、埼玉、千葉、神奈川の建設業許可を専門とする行政書士事務所として、

  • 管工事業の新規取得
  • 更新
  • 業種追加

など、全ての手続きを完全サポートします。

  • 専任技術者の要件診断
  • 必要な書類のリストアップ
  • 行政庁との折衝

まで一貫して代行します。

許可取得への手間と不備のリスクを最小限に抑えます。

管工事業の許可取得を検討中の建設業者様は、下記よりお気軽にご連絡ください。

最初の一歩を確実に踏み出せるよう、

専門知識と経験でサポートいたします。

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佐藤栄作行政書士事務所 | 公開日:2025.12.11 05:10 
更新日:2025.12.11 13:49

この記事を書いた人

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