建設業許可とは?取得要件を徹底解説|一般・特定の違いと専任技術者の実務経験
建設業を営む上で、
- 建設業許可とは何か
- なぜ必要なのか
という疑問は尽きないでしょう。
建設業許可は、一定の規模の建設工事を請け負うために必要な公的な許可です。
事業者としての信頼と適正な業務を証明するものです。
許可を取得することは、請負契約の規模を拡大します。
入札への参加資格を得るなど、事業の発展に不可欠な第一歩となります。
今回の記事では、
- 建設業許可とは何かという基礎
- 取得に必須となる5つの要件
- 一般建設業と特定建設業の違い
- 申請の流れ
まで、すべての知識を体系的に解説します。
2025年現在の最新の情報をご提供します。
建設業許可制度の概要
建設業法は、建設業の適正な施工を確保し、発注者や下請業者の保護、そして建設工事の品質向上を図ることを目的としています。
建設業許可は、この法律に基づいて定められた制度です。
軽微な工事を除き、請け負う工事ごとに許可を取得しなければなりません。
ここでいう軽微な工事とは、請負代金が1件あたり500万円未満の工事(建築一式工事の場合は1500万円未満の工事、又は、木造で延べ面積が150平方メートル未満の工事)を指します。
上記以外の規模の建設工事を行う場合、許可を取得している必要があります。
建築一式工事とは?定義から許可・費用・契約まで徹底解説【東京・埼玉・神奈川・千葉対応】
許可の種類とその違い
建設業許可には、「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の2つの種類があります。
工事の規模によって区分されます。
また、営業所の所在地に応じて「国土交通大臣許可」と「都道府県知事許可」に分かれます。
一般建設業と特定建設業の違い
- 一般建設業:請負代金の額に関わらず、工事を直接請け負うことができます。ただし、下請契約の合計額が5,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上になる工事は、元請として請け負うことはできません。
- 特定建設業:発注者から直接請け負った工事について、下請に請け負わせる代金の合計額が5,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上となる場合に必要な許可です。特定許可は、下請を適正に監督できる能力と資金力を有しているかを厳しく審査されます。
大臣許可と知事許可の違い
- 国土交通大臣許可:複数の都道府県に営業所を設置して事業を行う場合に取得します。
- 都道府県知事許可:営業所がいずれか1つの都道府県内にある場合に取得します。
許可取得に必須な5つの要件
建設業許可を取得するためには、建設業法で定められた5つの要件をすべて満たす必要があります。
これらの要件を満たしているかを証明するための書類を用意します。
必要書類を提出することが許可申請の中心となります。
経営業務の管理責任体制
許可申請を行う事業者には、経営を管理する能力を有する者(経営業務の管理責任者)がいる必要があります。
法人の場合は役員の内、個人の場合は事業主本人又は支配人が該当します。
2020年10月の改正建設業法により、従来の「経営業務の管理責任者(経管)」に代わり、「経営業務の管理責任体制」として複数の者で体制を満たすことが可能になりました。
- 法定の経験年数や補佐能力を証明する必要があります。
- 経験を証明する書類(組織図、業務分掌規程、稟議書等)の準備が重要な対策です。
専任技術者の設置
各営業所には、工事の施工に関する専門的な知識や技術を有する者(専任技術者)を常勤で配置する必要があります。
- 専任技術者の要件は、「資格」または「実務経験」で満たすことができます。
- 実務経験で証明する場合は、許可を受けようとする業種に関する工事の経験年数(学歴等によって異なります)を証明する必要があります。
【2025年最新版】建設業の「営業所専任技術者」とは?要件や変更手続きを徹底解説
誠実性の要件
申請者(法人の場合は役員、個人の場合は事業主)が、請負契約を適正に履行する誠実な能力を有しているかを審査されます。
財産的基礎の要件
請負契約を履行するための資金を有するのかを確認します。
一般建設業の場合は自己資本が500万円以上。
特定建設業の場合は
- 資本金や欠損の額
- 流動比率
などが厳しく規定されています。
欠格要件
申請者が建設業法で定められた欠格要件に該当しないか確認します。
例えば、
- 不正な手段で許可を取得しようとした者
- 一定の罰金刑を受けた者
などが該当します。
建設業許可申請の流れと手続き
建設業許可の要件を満たしたとしても、実際に許可を取得するためには、煩雑な申請手続きを進める必要があります。
全体の流れを把握し、計画的に準備を進めることが重要です。
①事前準備と必要書類の収集
まず、自社の事業内容や請け負う工事の規模に応じた許可の種類を確認します。
その上で、申請に必要な書類を一覧にして準備**を開始します。
- 必要書類は、法人か個人事業主か、また大臣許可か知事許可かによって異なります。建設業の実務経験や資格を証明するための書類(契約書、卒業証明書、資格証等)の収集が中心となります。
- 事務所で資料をダウンロードして参考にする、または行政書士に相談してどの書類が必要か確認することが効率的です。
②申請書類の作成
収集した情報をもとに、各種申請書類を作成します。
様式は国土交通省や各都道府県のホームページで入手可能です。
- 申請書には、会社の概要、営業所、役員、専任技術者、財産状況などの詳細を記載する必要があります。
- 記載内容に不備があると審査が滞ります。専門家の指導を受けて、正確かつもれのない書類作成を心がけることが大切です。
③申請書の提出と審査
作成した申請書類を、該当する行政庁(地方整備局または都道府県の建設業課)の窓口に提出します。
- 提出後は、行政庁による審査が行われます。審査期間は、申請内容や時期によって異なりますが、一般的に1~数ヶ月程度かかります。
- 審査中に補正を求められることがあるため、スムーズに対応できるよう準備しておきましょう。
④許可の取得と今後の手続き
審査に問題がなければ、無事に建設業許可が下ります。
許可が下りた後は、建設業者としての義務として、各種手続きを行わなければ**なりません。
- 有効期限は5年間です。有効期限の満了日までに更新手続きが必要です。営業所や役員の変更、決算報告なども定期的に届出を行う必要があります。
- 今後の手続きについても理解し、事業の進捗に合わせて適切に対応することが、安定した経営につながります。
関連する手続きと確認事項
許可を取得した後も、建設業者には様々な義務があります。
事業を行いながら、適切なタイミングで各種手続きを行わなければなりません。
許可更新と変更届
建設業許可の有効期限は5年間です。
有効期限の満了日の30日前には、更新申請の準備を開始する必要があります。
また、
営業所の変更や役員の変更、経営事項審査等、事業の内容に変更が生じた場合は、規定の期間内に届出を提出しなければなりません。
建設業許可に関するよくある質問と回答
建設業許可の手続きを進めるにあたり、多くの事業者様から寄せられる質問とその回答をまとめました。
許可取得に向けた不安や疑問を解消し、スムーズな準備に役立ててください。
Q1:個人事業主でも許可は取れますか?
A1:はい、個人事業主でも建設業許可は取得できます。
法人と同様に、経営業務の管理責任者や専任技術者の要件を満たす必要があります。
個人の場合は、事業主本人または支配人、事業主に直接雇われている者が該当します。
Q2:許可の有効期限が切れたらどうなりますか?
A2:有効期限は5年間です。
有効期限が満了する30日前までに、更新の手続きを行わなければなりません。
万が一、更新を忘れてしまうと、許可は失効します。
再度、新規の申請が必要になりますので注意が必要です。**
Q3:許可を取るまでにどれくらいの期間がかかりますか?
A3:申請する行政庁や時期によって異なりますが、一般的には1ヶ月から4ヶ月程度が目安となります。
申請書類に不備があると、審査期間がさらに延びることがあります。
迅速な許可取得のためには、事前に専門家へ相談しておくことをおすすめします。
完璧な書類を揃えることが重要です。
Q4:複数の業種をまとめて申請できますか?
A4:はい、可能です。
複数の業種を同時に申請することができます。
ただし、それぞれの業種ごとに、専任技術者や実務経験の要件を満たしている必要があります。
同一人物が複数の業種の専任技術者を兼任できる場合もありますので、詳細は行政書士に確認することをお勧めします。
Q5:経営事項審査とは何ですか?
A5:経営事項審査とは、公共工事の入札に参加したい建設業者が必ず受ける必要がある審査です。
- 会社の財務状況
- 技術力
- 社会保険への加入や法定外労災など雇用環境の状況等
などを総合的に評価します。
点数化します。
許可を取得した後、公共工事への参入を検討されている場合は、審査の準備も進めることが重要です。
専門家への相談が解決への近道
建設業許可の取得手続きは、書類作成だけでもかなりの量と知識が必要です。
ご自身ですべてを行うには多くの時間と労力を要します。
不備があれば審査に遅れが生じる可能性があります。
- 当事務所は建設業許可の専門行政書士として、経営事項審査、各種手続き、労務管理、社会保険加入等、幅広くサポートを提供しています。
無料相談も承っております。
建設業許可に関する課題やお悩みがあれば、お電話またはホームページの問い合わせフォームからご相談ください。
関連情報