営業所技術者(専任技術者)になれる人とは?【建設業コラム第4回】
建設業許可に必要な要件者である
“営業所技術者(専任技術者)”はどのような人がなれる?
💡建設業許可を取得するには、営業所ごとに「営業所技術者・特定営業所技術者(専任技術者)」を配置しなければなりません(建設業法第7条、第15条)。
しかし、「営業所技術者(専任技術者)って何?」「技術資格持っていればいいんじゃない?」といった誤解も意外と多いものです。
今回は、営業所技術者(専任技術者)がどのような人がなれるのか、建設業法第7条の一般許可の営業所技術者(専任技術者)について分かりやすくご紹介します。
⭐️「専任」ってどういう意味?
「専任」とは、その営業所に会社が定める出勤日に毎日きちんと勤務していることを意味します。
他の会社や他の営業所、現場との兼任はできません(特例がありますが、これはまた別の機会に)。
職場にずっといる必要はありませんが、基本的には営業所で業務を行っていることが求められます。
⭐️営業所技術者(専任技術者)の資格とは?
営業所技術者(専任技術者)には、何か技術資格を保有していないとなれないと思っている方も多いと思いますが、実は、資格がなくてもなれる場合があります。
以下に5つの属性を説明をいたします。
①有資格者
建築士や施工管理技士、技能士など指定された技術資格を有している者。
資格の種類によって、どの業種の営業所技術者(専任技術者)となれるか指定がされております。
②有資格+実務経験
技術資格によっては、資格取得後に決められた期間の実務経験が必要な資格があります。
⚫︎第二種電気工事士の方は、資格取得後3年間の実務経
⚫︎令和3年4月1日以降合格の工事担任者は、資格取得後3年間の実務経験
⚫︎平成27年までの建築と土木の一級施工管理技士は、解体工事業の営業所技術者(専任技術者)になるには、1年間の実務経験
⚫︎各種技士補において、2級は5年、1級は5年の実務経験
③登録基幹技能者
建築一式、土木一式、水道施設、清掃施設の工事業種を除き、登録基幹技能者は、規定される営業所技術者(専任技術者)になれます。
ただし、平成30年4月1日以降の講習修了証においては、営業所技術者(専任技術者)になれる修了証となれない修了証があるので、注意が必要です。
④指定学科卒業+実務経験
⚫︎5年の実務経験が必要な学校:高等学校、中等教育学校、専修学校
⚫︎3年の実務経験が必要な学校:大学、短期大学、専修学校のうち専門士・高度専門士
⑤学歴を問わず10年間の実務経験
⭐️よくある誤解と注意点
意外と知られていないルールや、誤解しやすいポイントもあります。
以下の点には特に注意しましょう!
⚫︎許可取得後も継続して必要
営業所技術者(専任技術者)が退職した場合などは、新しい営業所技術者(専任技術者)を配置しなければなりません。後任がいないと、許可が取り消されてしまいます。
⚫︎公共工事の入札でも確認される
経営事項審査の受審の場合にも、営業所技術者(専任技術者)の確認がなされます。また、専任技術者が変わった場合は2週間以内に届け出が必要です(建設業法第11条)。
⚫︎常勤役員等(経営業務管理責任者)とは別の役割
会社の経営管理を行う役割とは異なりますが、同一人物に要件があれば兼任できます。
⚫︎常勤の証拠が必要
健康保険や住民税の給与天引きなどで、実際に営業所で働いていることが証明できるようにしましょう。
⭐️まとめ⭐️
営業所技術者(専任技術者)は、建設業許可を維持するために非常に重要な役割を持っています。
前任者と後任者の交代の時期や常勤不備などがあると、許可要件の欠落につながるため、正しいルールを理解してきちんと運用しましょう。
※本記事は2025年7月時点の法令に基づいて作成しています。
【参考資料】
国土交通省
「建設業許可制度」
建設業法(第7条、第11条、第15条)
各種行政・専門家解説資料