建設業許可証明書と通知書の違い:用途、取得方法、有効期限を完全解説

建設業許可を取得すると、行政庁から2種類の書類が交付されます。
「建設業許可証明書」と「建設業許可通知書」です。
この似た名前の書類の違いを正しく理解していないために、
- 「金融機関への提出時に通知書を持って行って却下された」
- 「入札参加資格申請で証明書が必要なのに手元にない」
といったトラブルが発生するケースが多くあります。
特に、東京、埼玉、千葉、神奈川の各都県では、書類の様式や取得方法に若干の違いがあるため、正確な知識が不可欠です。
今回の記事では、建設業許可の専門行政書士が、建設業許可証明書と通知書の違いを明確にします。
それぞれの書類の用途
取得方法(再発行)
有効期限
など、建設業者の皆様が抱える疑問を解決に導く知識を網羅的に提供します。
証明書と通知書の決定的な違い
建設業許可証明書は「第三者に許可の事実を証明するための公的な書類」です。
建設業許可通知書は「行政庁から申請者への許可の決定を通知する書類」という役割の違いがあります。
建設業許可証明書の役割と用途
建設業許可証明書は、行政庁の長の公印(知事印など)が押印された正式な書類です。
「この建設業者が現在も許可を有する」ことを第三者に証明する唯一の書類として利用されます。
- 主な用途:金融機関への融資申請時の提示、公共工事の入札参加資格審査申請(経審の際に求められる場合がある)、元請け・取引先への信頼性の提示。
建設業許可通知書の役割と利用
建設業許可通知書は、許可が下りた直後に行政庁から申請者(建設業者)へ「許可が出ました」と知らせるために送付される書類です。
- 主な利用:許可の事実を申請者自身が確認するための控え、許可番号や有効期限の情報を得るための参考資料。公的な証明力はほとんどありません。
取得方法と再発行の違い (16文字)
建設業許可通知書は許可時に一度だけ送付され、原則として再発行はできません。
しかし、建設業許可証明書は必要な時に手数料を払うことで何度でも取得(再交付)が可能です。
建設業許可通知書の取得方法と必要書類
建設業許可通知書は、新規許可申請や更新申請が完了。
許可が下りた際に行政庁から郵送で送られてきます。
通知書自体を申請する手続きはありません。
- 取得方法:許可が下りた際に自動的に交付(送付)されます。
- 再発行:紛失・汚損した場合も、行政庁の業務の性質上、原則として再発行は行われません。通知書の控えを保管しておくことが大切です。
建設業許可証明書の取得方法と再交付
建設業許可証明書は、申請が必要な書類です。
必要な時に行政庁の窓口(または郵送)で申請して取得します。
何度でも取得できる点が通知書との大きな違いです。
- 取得方法:所定の申請書に手数料(収入証紙など)を添えて、窓口に提出して取得します。
- 建設業許可証明書 必要書類:各都県の様式による交付申請書、手数料(数百円程度)、窓口提出者の身分証明書。
有効期限と記載内容の違い
建設業許可証明書には厳密な有効期限の記載はないものの、提出先から「〇ヶ月以内に発行されたもの」と求められるため、その都度取得する必要があります。
建設業許可証明書の有効期限と鮮度
建設業許可証明書は、許可が有効である限り、いつでも取得できる書類です。
書類自体に「発行から3ヶ月有効」といった明確な有効期限は記載されていません。
- 実質的な有効期限:しかし、入札参加資格申請や金融機関などの提出先では、通常「発行から3ヶ月以内に取得したもの」を求められるため、この期間が実質的な有効期限となります。
- 記載内容:許可番号、商号、代表者氏名、所在地、許可業種、一般・特定の区分、許可の日付。公印の有無が特徴です。
建設業許可通知書の記載内容
建設業許可通知書は、行政庁からの通知であるため、許可の内容(許可番号、業種など)の基本情報の他に、許可を出した日付や、通知を行った行政庁の名前などが記載されます。
- 通知書に記載される情報:許可番号、許可の日付、許可を行った行政庁の名称、許可業種、有効期限の終期など。許可が下りた直後の情報源として役立ちます。
関東エリアの地域ごとの違い (16文字)
建設業許可証明書の取得方法や申請窓口は、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の知事許可ではそれぞれ異なります。
各都県の独自ルールの知識が解決に繋がります。
各都県の建設業許可証明書 取得方法の違い
知事許可の場合、建設業許可証明書の交付申請は各都県の建設業課(または土木事務所)で行います。
手数料の納付方法や、申請様式に違いがあるため注意が必要です。
- 東京都:都の収入証紙を購入して貼付する形式。窓口での受付に時間がかかることも多い。
- 埼玉県:県の収入証紙で納付。一部の土木事務所でも申請可能な場合があります。
- 千葉県:県の収入証紙で納付。郵送による申請が可能な場合がある。
- 神奈川県:県の収入証紙で納付。申請窓口が混雑しやすいため、事前確認が推奨されます。
建設業許可通知書と証明書の保管場所
建設業許可通知書は再発行ができないため、企業の重要書類として厳重に保管する必要があります。
一方、建設業許可証明書は必要に応じて取得できるため、直近のもの以外は写しを保管するなどで問題ありません。
許可証と証明書の混同を避ける知識 (16文字)
この章で伝えたい結論:「建設業許可証」という書類は存在せず、許可の事実を証明するのは「建設業許可証明書」であり、混同を避けて正確な知識を持つことが重要です。
建設業許可証明書の見本と通知書の見本の違い
許可通知書は行政庁から送付されたものをそのまま利用します。
一方、許可証明書は申請の都度、行政庁が作成して公印を押すため、重厚感のある紙や用紙が使われることが多いです。
- 通知書の見本:簡素な紙であり、許可番号と許可日が主に記載されています。
- 証明書の見本:申請書の内容(商号、所在地、業種など)を証明するため、情報量が多く、証明力を高めるための公印が押印されます。
許可証という言葉の誤解と解決
建設業者の中には、「建設業許可証」という言葉を使っている方もいますが、これは通称です。
建設業法上、正式に「建設業許可証」という名称の書類は交付されません。
この通称が「証明書」と「通知書」の混乱の元となることがあります。
「許可が下りたことを証明する公的書類」を求められた場合は、迷わず「建設業許可証明書」を取得してください。
建設業許可証明書の利用が必須なケース
建設業許可証明書が必須となるケースは、主に「公的な証明力を求められる場面」です。
通知書での代用は原則として不可能なため、事前に証明書の取得が必要です。
- 金融機関への融資申請:銀行や信用金庫などは、確実な許可の証明を求めます。
- 経営事項審査(経審)申請:入札参加資格申請の際に必要な書類として、証明書の提出が求められることがあります。
- 大手元請け・新規取引先への提示:契約の確実性と信頼性を高めるため、最新の証明書の提示を要求されることがあります。
建設業許可通知書が役立つケースと用途
建設業許可通知書は公的な証明力は低いものの、社内の許可情報を確認する際や、許可番号を参照する際に役立つ重要な控え書類です。
- 社内の許可番号・内容の確認:許可番号や許可業種、有効期限を確認するために利用。
- 建設業の標識作成の際の情報源:営業所に掲示する許可標識の作成時に、正確な情報を参照する。
- 簡易な許可の事実の確認:社内の事務処理や、特に証明力を求められない場合の参考資料として利用。
建設業許可証明書の再発行を行政書士に依頼する解決策
建設業許可証明書は必要に応じて再発行が必要なため、行政書士に依頼することで、
- 申請窓口への移動時間
- 申請書類の準備の手間
を省くという解決策が得られます。
- 時間の節約:関東エリアの行政庁窓口は混雑することも多く、行政書士に依頼することで待ち時間や移動時間を削減できます。
- 正確な申請と迅速な取得:各都県の最新の様式とルールを熟知しているため、不備なく申請して迅速に証明書を取得できます。
建設業許可 証明書の取得方法 大臣許可の場合
国土交通大臣許可の場合は、主たる営業所を管轄する地方整備局(関東地方整備局など)への申請となります。
申請窓口や様式、手数料も知事許可とは異なるため注意が必要です。
外部リンク
佐藤栄作行政書士事務所 |
公開日:2025.10.14 14:30
更新日:2025.10.14 18:54