建設業許可「知事・大臣」の違いを解説

建設業許可は、建設工事を請け負う上で必要な許可です。

その許可申請の窓口や権限によって「知事許可」と「大臣許可」の2つの種類に区分されます。

どちらを取得すべきかは、建設業者の事業の規模や営業エリアによって異なります。

今回の記事では、建設業許可の知事許可と大臣許可の違いについて、建設業法の規定に基づき、要件や手続きの観点から詳しく解説します。

当事務所は、東京、埼玉、千葉、神奈川を中心とした建設業者様の許可申請を専門に行っております。

皆様の事業の円滑な運営をサポートします。

知事許可と大臣許可の定義

建設業許可の知事許可と大臣許可の違いは、建設業者が営業所をどこに設置しているかという「営業所の所在地」の基準で決定されます。

営業所の設置状況がすべて

建設業法に基づき、許可を受けるための申請先は以下のとおりです。

単なる資材置き場や連絡所は営業所には該当しません。

実体として請負契約を締結したり、建設工事の見積もりを作成したりする事務室が営業所と定義されます。

  • 知事許可:主たる営業所が一つ都道府県の区域内にある場合、その都道府県知事に申請し許可を受けます。例えば、本店が東京都内にのみある場合などです。
  • 大臣許可:営業所を二つ以上の都道府県に設ける場合、国土交通大臣に申請し許可を受けます。例えば、本店が東京で支店が神奈川県にある場合などです。

重要な点は、工事を行う現場がどこにあるかではありません。

営業所の所在地がどこにあるかで区分されるということです。

知事許可を持っていても、全国どこでも工事を請け負うことは可能です。

 

許可の種類と要件の違い

知事許可も大臣許可も、建設業法に定められた共通の許可要件を満たすことが大前提となりますが、申請の手続きや書類の構成に違いが生じます。

共通する許可要件

知事許可と大臣許可のいずれの種類でも、以下の4つの要件は共通して満たしている必要があります。

  1. 経営業務の管理責任者の設置
  2. 専任技術者の設置
  3. 財産的基礎(一般建設業では500万円以上の自己資本または資金調達能力)
  4. 誠実性及び欠格要件に該当しないこと

また、特定建設業許可や一般建設業許可といった事業の規模による区分の違いは、知事許可と大臣許可のどちらの場合も存在します。

申請手続きと管轄行政庁

知事許可は、営業所の所在地を管轄する都道府県の建設課などが窓口となります。

一方、大臣許可は、主たる営業所を管轄する地方整備局(関東地方整備局など)が窓口となります。

大臣許可の方が、複数の都道府県の情報を集約するため、提出書類の量が多く、審査の期間がやや長くなる傾向にあります。

 

更新と変更届の手続きの差異

建設業許可は、取得したら終わりではありません。

  • 5年間ごとの更新
  • 役員の変更
  • 営業所の新設

などの変更が生じた際に届出を行う義務があります。

許可更新の手続き

許可の有効期限は5年間と定められています。

引き続き事業を営む場合は、期限の3ヶ月前から30日前までに更新申請を行う必要があります。

  • 知事許可の更新:一つの都道府県のに申請します。
  • 大臣許可の更新:主たる営業所を管轄する地方整備局に申請します。

更新の際にも、知事許可と大臣許可でそれぞれの管轄行政庁に提出する流れは変わりません。

変更届の提出先

役員や専任技術者の変更、営業所の所在地の変更などの事項が生じた場合、遅滞なく行政庁に届出を行う必要があります。

  • 知事許可:管轄の都道府県の建設課に届出を行います。
  • 大臣許可:変更が生じた営業所の所在地を問わず、主たる営業所を管轄する地方整備局(または経由する都道府県)に届出を行います。

大臣許可の場合、複数の都道府県の営業所に係る変更も一括して国に届け出る点が、知事許可との大きな違いです。

 

事業戦略に応じた許可の選択

知事許可と大臣許可のどちらを取得するかは、建設業者の事業戦略を踏まえて慎重に判断すべきです。

知事許可のメリットとデメリット

  • メリット:申請手続きが大臣許可に比べて比較的容易で、審査の期間も短い傾向にあります。コストも抑えやすく、地域密着の事業を営む場合に適しています。
  • デメリット:事業拡大で他県に営業所を設ける場合、大臣許可への変更手続きが必要となります。

大臣許可のメリットとデメリット

  • メリット:一度取得すれば、全国どこに営業所を新設しても許可の効力が継続します。全国を対象とした入札参加資格の取得や、広範囲での事業を展開する業者に有利です。対外的な信用も高いと見なされる場合があります。
  • デメリット:申請手続きが複雑で時間がかかり、手数料も知事許可より高くなります。複数の営業所の管理が必要なため、事務負担も大きくなります。

特定建設業許可を目指す場合でも、この知事許可・大臣許可の区分は同様に適用されます。

自社の将来の展望を考慮して、最適な許可を選択しましょう。

 

行政書士による申請サポート

建設業許可の申請は、知事許可であれ大臣許可であれ、建設業法の細かな規定を遵守しましょう。

必要な書類を漏れなく提出する必要があります。

当事務所は、建設業許可の専門家である行政書士として、東京、埼玉、千葉、神奈川の建設業者様のご相談に対応しております。

  • 知事許可から大臣許可への変更
  • 特定建設業許可の取得

など、複雑なケースも含めて、皆様の事業拡大を強力にサポートします。

無料相談を承っておりますので、まずはお気軽に電話または問い合わせフォームよりご連絡ください。

 

外部リンク

佐藤栄作行政書士事務所 | 公開日:2025.10.09 11:00 
更新日:2025.10.10 15:50

この記事を書いた人

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